Q:会社は何をする場所か? を問い、価値観を揃えることが大事です。
10年来の付き合いがある店長から「 部下育成 」についての相談を受けました。私が会社を辞めた際に会社同士の付き合いが終わっています。が、卒業後も、わざわざ個別に声をかけていただけるのは、非常にありがたいことです。
で、結論は「 仕事の依頼を断り 」ました。
この店長は、素直で向学心があり優秀な方です。ま、そもそも、相談者選びが優秀です😁 その時点で、課題は解決に向かっていますからね😁
そんな優秀な店長であっても「 やさしさの罠 」に嵌(はま)る、という話です。
上司の役割のひとつに「 部下育成 」があります。
商品が売れれば会社は儲かります。が、商品やサービスには「 流行り廃り 」があります。10年も20年も売れ続けるロングセラーを持てた企業は幸運です。が、ほとんどの企業は、そんな幸運に恵まれません。ので、会社経営を続けるには、商品開発のトライ&エラーし続けることが必要です。もちろん、勝手に商品は生まれてきません。「 人 」です。
じゃあ、どんな人を育成すれば良いのか?ってのが、次の「 問い 」になります。それが
「 思考できる人 」です。
時代変化、市場変化、テクノロジー変化、企業の方針変化、に応じて「 思考できる人 」です。分かりやすいことでいうと、コロナ環境下で、一瞬の疑いもなくリモート化デジタル化に対応するか、反発し続けて仕方なく応じるか、の初期反応で全てが分かります。
日本の教育環境は、私が証明できる40年前と何も変わっていません。いわゆる「 記憶教育 」です。「 記憶して、良い点数を取る 」これが「 是 」とされる教育です。の結果「 考えない大人たち 」が溢れ返る社会となりました。「 思考停止 」してしまっている大人です。
戦後、経済が発展し続ける環境下では「 思考しないコピーロボット人間 」の育成が正解でした。商品を出せば売れ続けるわけです。ので「 変なことをせず 」「 指示されたことを正確に 」実行できる、思考しないコピーロボット人間が評価されます。自分で考えて行動するタイプは「 出る杭 」として、ハンマーで矯正されたわけです。これが、環境が変わってしまった今も教育現場では続いています。(あ、思考できるためには、基礎学力の教育が重要です!)
店長に戻ります。
部下育成のために「 個別セミナー 」の開催の相談をいただきました。成長して欲しい部下に学ぶ機会、気づく機会を作ってあげたいという「 やさしさ 」です。「 誰が言うか? 」という効果も期待して私に依頼をいただきました。
さて、結論です。「 与えるやさしさ 」は、ときに「 相手の成長機会を奪う 」場合があります。今回でいうと「 自分で決めるという成長機会 」です。生き方のスタンスでGiverであることは大切です。が、Giverスタンスが、思考することを放棄しているのであれば危険です。
今回、私が断った理由は「 セミナー代金は、店長が全額払うつもり 」だったから、です。私は、彼のキャラを知っているので、相談があった時点で、そのことも想定していました。
部下育成で最も大事なのは「 相手の意志 」です。会社方針や規則は「 守らせる 」必要があります。相手の意志ではなく、従わせるものです(人権と法律遵守は言うまでもなし)。で、実は、多くの人が勘違いしていますが、会社は「 仕事をする場所 」であって「 学ぶ場所 」ではありません。ので、極端に言うと「 部下を教育する必要は無い 」んです。仕事をする上での専門知識、ビジネスマナーは教える必要があります。が、それ以外の学びは「 本人の 」問題です。※昔は、終身雇用が基本でした。が、今の時代は10年で仕事を変えるのも普通(4回5回の転職でも普通)です。ので、人として学び続けることを「 是 」として向き合ってあげることが良い上司です。
「 与えられた範囲を記憶する学習 」は、学生時代の話です。つまり「 その会社、その職業でしか通じない記憶する学習 」です。ここの「 罠 」に気づきづらいんです。
会社員時代を思い返しても、優秀なメンバーは自ら勉強をしていました。優秀じゃないメンバーは仕事以外で勉強していることはありませんでした。そんなメンバーに「 この本を読め 」と言っても読みません。読んだとしても「 読めと言われたから 」と言ってくるので、ムカつくだけです😁 ので、私は「 今月、何冊本を読んだ? 」と、勉強に対する「 行動 」を確認していました。もちろん「 0冊です 」と返事が返ってきます。「 ま、だから、成長せぇへんねろな 」と冷たく突き放してあげるというやさしさを届けていました😁(人間関係ができていることが前提)※って言うか「 学ぶトレーニング 」は、学生時代に終わってるしな!学校の役割です!
大事なことは「 与える 」ではありません。仕事とは?お金を稼ぐとは?会社員であるということとは?自分が成長する未来と成長しない未来は?学生の学びと社会人の学びの異なりは?成功している人と言い訳する人の特徴は?など「 問い 」を共有し続けることです。つまり「 相手に考える機会を与え続けること 」です。
で、最も大事なことが「 本人の意志 」です。本人に「 学びたい 」「 自分を成長させたい 」「 克服したい 」という「 want 」の存在です。できれば、ワクワク感があると最高です。「 本人の意志 」に対して上司が関わろうとしているか?耳を傾けようとしているか?です。この「 本人の意志 」がなければ、ただの「 おせっかい 」になります。「 やさしさの罠 」です。(本人に意志が無い場合、放置しましょう。関わらなくて良いです。意志がある方に、自分の時間とエナジーを投資しましょう。人材育成も、集中と選択です。)
このやさしさの罠は、与えているつもりなのに「 奪う 」こともあります。そうなる前に、私に相談があったのが幸運です。店長との相談時間中、私は、ずっと「 問い 」を投げ続けていました。店長の成長機会を奪わないためです。
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